マタタビ

学名 Actinidia polygama
別名 ネコナブリ、ウラジロカズラ、ネコノチンボ、
木天蓼(中)
木天蓼 分類 マタタビ科マタタビ属 (落葉つる性)
アイヌ語のマタタンプから。漢字は漢名をそのまま当てた。 原産・分布 北海道、本州、四国、九州。朝鮮、中国、千島、樺太、ウスリー。
神奈川県 丹沢、箱根、小仏山地のシイ・カシ帯〜ブナ帯下部の林縁に生える。三浦半島北部にごく稀に見られる。
用途 果実を塩漬けにする、虫えいは果実酒、漢方薬。背負い籠、ザル
山野の林縁、林道沿いあるいは沢筋に多く生える。
つる性のため長い間に元の樹木を覆ってしまい、一面マタタビの葉が壁のようになることもある。写真はスギの木を覆ったマタタビ。
写真のように、花期に葉が白くなることから遠くからでもマタタビのあることが分かる。


群馬県
みなかみ町赤谷
100703
5年以上経つと樹皮は赤みのかかった暗灰色になる。縦にこまかく樹皮が裂ける。

上野原市
秋山
190423
葉は互生、葉身は卵円形、基部は円形まれに浅い心形、質は薄い。縁は鋸歯がある。葉裏の葉脈には荒い毛が散生しているためざらつきがある。
写真上のように、昨年の枝蔓の葉腋から今年の新しい蔓を伸ばし、葉を互生する。さらには、その葉の葉腋に花をつける。写真中は葉腋に下向きに花が咲いている。

若い葉は山菜として食べることができる。お茶としての利用もできる。アクやクセが無いのだろう。シカも好んで食べる。低い位置の枝葉は蔓ごと食べられてしまうこともある。
若い蔓と葉

みなかみ町赤谷
050702
マタタビ葉
葉表

丹沢
白石沢
090627
マタタビ葉
葉裏

丹沢
白石沢
090627
マタタビ葉
花期に、葉の表が白くなる。これはドクダミ科のハンゲショウと同じ原理で、葉の表皮が、葉体から剥離するからだと言う。花が葉陰で咲き、目立たないので、代わりに虫を呼ぶためとも。実の成る頃には、もとの緑色に戻る。

この白変に赤味を帯びることがある。付近には赤味を帯びない木もあるので、個体による相違に見えるがカラクリはよく分からない。が、全体が赤味を帯びるので山中では目立つ。白より本来の目的に合致しているのかもしれない。
白変した葉

丹沢
水の木
040619
マタタビ葉
赤味を帯びた葉

甲州市
湯ノ沢峠
240701
マタタビ葉
雌雄異株
雄花の咲く雄株と、雌花および両性花の咲く雌株がある。6〜7月、葉腋に、雄花は集散花序に1〜3個の花が、雌花および両性花は1個の花が咲く。
若枝はつる状で褐色、葉柄は赤味を帯びる。
雄花

群馬県
みなかみ町赤谷
050702
マタタビ花
左が雌花、中央が両性花。雄花と両性花には花弁があるが、雌花には花弁が無い。写真でも大きな子房と5裂した萼しかないのが分かる。
花言葉「夢見る心地、晴れやかな魅力」 猫の気持ちを表しているような言葉?。
両性花・雌花

群馬県
みなかみ町赤谷
090704
マタタビ花
果実は液果。長楕円形で先端が尖り、8〜9月に黄熟する。別名(地方名)ネコノチンボはこの形状から。
★食★熟した実は、塩漬けにして食べる。
果実

丹沢
水の木
040718
マタタビ実
マタタビミフクレフシ。
タマバエの1種が、花あるいは幼果に産卵することで、虫こぶができる。正常果実より大きく、不整形の偏平となり縦皺ができる。
この虫こぶを焼酎に漬けて天蓼酒を作る。丹沢でも林道沿いにある虫こぶは、早めに採られてしまう。
《天蓼酒》

★薬効★疝気の鎮痛薬、強壮剤(生薬名木天蓼)。立秋の頃、虫こぶを採取し、熱湯で中の虫を殺したあと天日でよく乾かす。

写真下。虫こぶの中は漿質で、幼虫の部屋がいくつもある。場合によっては、虫こぶを作ったタマバエ以外に、同居性、捕食性、腐食性の昆虫類の幼虫が入っていることもあるそうだ。
実虫こぶ

群馬県
みなかみ町赤谷
100801
マタタビ虫コブ
虫こぶ
断面

041012
マタタビ虫コブ
秋には黄葉する。それほど鮮やかではない。 黄葉

上野原市
秋山
191118
マタタビ冬芽
蔓(一年枝)は赤褐色で、白い皮目が多い。葉痕部が大きく突き出る。冬芽は、突き出た葉痕部の中に隠れ、先だけが見える。葉痕は円形、維管束痕は一つ。 冬芽

群馬県
みなかみ町赤谷
080406
マタタビ冬芽
春には枝のすべての芽から芽吹く。すべての新枝が長い蔓になるわけではないが、マタタビならではのエネルギーを感じることができる。 芽吹き

上野原市
秋山
190421
マタタビ冬芽
こぼれ話
ネコ科の動物が好み、マタタビを食べると酩酊状態になる。特に、根を好んで掘り出してかじると言う。成分はマタタビラクトン。

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