スギ |
学名 | Cryptomeria japonica |
別名 | ヨシノスギ、オモテスギ 倭木(中) |
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杉 | 分類 | スギ科スギ属 (常緑高木) |
木がまっすぐに伸びるため、垂木(スキ)が訛ったとも。 | 原産・分布 | 本州、四国、九州 |
神奈川県 | 丘陵~山地まで広く分布するが、ほとんど植栽と思われる。 | |
用途 | 庭木、街路樹、建築・土木・器具・楽器・彫刻・酒樽、梱包材 | |
日本特産種。古くから有用樹として、ヒノキと並び広く植林された。秋田杉、北山杉など、各地に地名を付けた名木が多い。→「県の木」 植林では、スギは成長を早め多くの材を得るために潤湿な谷側に、ヒノキは緻密な材を作るために尾根近くに植えられることが多い。 写真は手入れがされているスギ林。若い木は樹冠が尖った円錐形(右写真)だが、老齢になると丸く楕円形(下写真)になる。 |
杉林 丹沢 塩水川 061112 |
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日本の樹木としては、最も長寿で大きくなり、屋久杉を初め、各地に巨木がある。神奈川県では、山北町箒沢にある箒杉が有名。推定樹齢2000年、樹高45m、胸高周囲が12mある。国と県指定の天然記念物になっている。大きさは基部を囲むフェンスで推測を。 地名の箒沢は、かつて宝木沢と書いたと言う。このような木が沢山あったのだろう。 |
巨木 丹沢 中川 箒スギ 061215 |
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湿気のある、有機物に富む谷間に生育する。樹皮は赤褐色で、縦に裂け、細長く薄く剥がれる。屋根葺きの材料として用いられた。 | 若木幹 丹沢 水の木 040321 |
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材は芳香があり、その名の通り真っ直ぐで軽く狂いは少なく工作がしやすい。芳香の成分はテルペノイドのカジネン。防腐作用もあるため香りづけのために日本酒の酒樽として用いられる。 材の色は辺材(白色)と心材(赤褐色)とで明確に異なる。一般的に心材の方が狂いは少ないとされる。 縦に綺麗に割れるため、昔から板材などが作りやすく重宝された。 |
幹断面 群馬県みなかみ町赤谷 151116 |
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1年枝は緑色。葉は、鎌状針形で基部が枝を包み込んでいる。触ると痛い。 | 枝・葉 丹沢 水の木 040321 |
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雌雄同株、雌雄異花。 3~4月に花が咲く。スギの雄花はフットボールのような楕円形。花粉症の元凶として有名。写真は、まだ花粉を出していない。 |
雄花 丹沢 二俣 050215 |
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一般的に球果と呼ばれるが、正しくは種子であり、鱗状の部分は種皮が変化した種子鱗片。 球果は初め緑色をしているが、熟すと褐色になる。鱗片のすき間から種子がこぼれる。 |
若い球果 箱根 湖尻 050830 |
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林道にたくさんの実生が生えていた。よく開けたところにまとまって生える。 | 芽生え 上野原市 秋山 140113 |
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発病すると、数多くの瘤ができる。瘤ができた枝は、数年で枯れ、木全体が弱っていく。菌類が原因か。 | こぶ病 丹沢 水の木 040321 |
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こぼれ話 「五十猛神(イソタケル)」 古くから重要な木材だったスギ、ヒノキは日本書紀では素盞鳴尊とその息子の五十猛神や妹神によって全国の山に植えられたとされている。日本書紀の巻第一「神代 上 八岐大蛇」の段の第四、第五の一書に次のようにある。 「五十猛神が天降られるときにたくさんの樹の種を持って下られた。韓地には植えずにすべて持ってきて、筑紫からはじめて大八洲国に植えたので、全部青山になった。紀伊国の大神はこの神である。」 「素盞鳴尊は髭を抜いて放つと杉の木になり、胸の毛を抜いて放つと檜になった。尻の毛は槙に、眉の毛は樟になった。杉と樟は舟を作るのに良い。檜は宮を作る木によい。・・沢山の木の種を皆で播こう。」 五十猛神は、古来林業の盛んな紀伊国(木の国)で信仰されていた土着の神とされる。高天ヶ原からのマレビトである素盞鳴尊とともに木を植えることで林業の神とされた。和歌山市にある紀伊国一宮伊太祁曽神社に祀られている。伊太祁曽神社の分祀は少なく、多分唯一の例が、現在は群馬県みなかみ町にある。 |