フサザクラ | 学名 | Euptelea polyandra |
別名 | タニグワ、サワグワ、ヤマグワ、ナナカマド、ナナカマス、メメスギ | |
房桜 | 分類 | フサザクラ科フサザクラ属 (落葉高木) |
赤い房状の花の咲く様子を、満開のサクラに見立てた名。各地に葉が似たクワの名がつく地方名がある。 | 原産・分布 | 本州、四国、九州(日本特産種) |
神奈川県 | 丹沢、箱根、小仏山地に多く、丘陵地にも稀にある。シイ・カシ帯上部からブナ帯の、渓流畔に多い。 | |
用途 | 建具、ろ櫂、薪炭 | |
湿気の多い谷沿いや、渓流沿いに多く生える。高さは10〜15mになる。 葉が出る前に、赤い花が枝に付く様子は、樹全体が赤くなり、この時期に目立つ。この様子をサクラに見立てた名か。 多くの地方名があるのは、早春の山で咲く花が目立つので親しまれていたのだろう。 |
樹 丹沢 世附川浅瀬 060320 |
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初夏の展葉直後のフサザクラも、若葉の色が微妙に変化して美しい。 以降、夏から秋は紅葉せず枯れ葉になるので人目を引くことはない。 |
樹 上野原市 秋山 160601 |
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樹皮は褐色〜暗褐色で、若木では横長の皮目が目立つ。 | 幹 丹沢 塩水川 040316 |
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花の赤が終わると、多くの芽が膨らみ木全体が緑色になる。 | 芽吹き 丹沢 札掛 060409 |
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葉は互生し、葉身は広卵形。先は急に尾状に尖り、縁には不揃いの粗い鋸歯ががある。この鋸歯の不揃い具合が、フサザクラの特徴である。 | 葉 丹沢 水の木 040430 |
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フサザクラの一番の特徴は、この花だ。 雌雄同株、両性花で、3〜4月に葉に先駆けて咲く。花弁が無く、暗紅色の葯をつける雄しべが10本以上垂れ下がる。雌しべは、雄しべの根元に多数ある。 同様に、花弁の無い花には、カツラやヤマグルマがある。原始的な被子植物で、古代植物の一つと言われている。 |
花 丹沢 塩水川 040316 |
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果実は長い柄があり、扁平な翼を持つ。秋に熟すと黄褐色となり、風に飛ばされる。 06年の春には、飛ばされなかった実が、花と一緒に、多数枝に残っていた。 |
若実 丹沢 水の木 040430 |
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冬芽は卵状長楕円形で、暗紫褐色の光沢のある鱗片に包まれる。葉芽と花芽は、大きさで容易に区別できる。 | 冬芽 丹沢 塩水川 040316 |
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オトシブミの1種。葉が俵型に巻かれて切り落とされているのでヒゲナガオトシブミと思われる。 | 葉揺籃 丹沢 城ヶ尾峠 100624 |
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ウスタビガのまゆ。「やまかます」と呼ばれる。丹沢では、何故かフサザクラの木に多い。冬枯れの中で、すぐに見つけることができる。 ウスタビガはクヌギ、コナラが食樹とされるが、フサザクラも好きなのかもしれない。 |
蛹 丹沢 雨山 060211 |